今さら聞けないベンチマーク制度~指標の計算を知る~

ベンチマーク制度で算出する指標はどういう意味?

食品スーパーマーケットでも始まったベンチマーク制度ですが、「これはどういう指標???」とお問合せいただくことも多く、今回はベンチマーク制度で報告する時に使う指標の意味と計算方法をご紹介します。

ベンチマーク制度では対象となる自社の店舗のエネルギー使用量を「同程度の食料品スーパーの平均的なエネルギー指標」で割ることによって計算します。例えば、自社の店舗が平均的な店舗と全く同じだけエネルギーを使用していれば1.000となりますが、同じ規模の店舗の2倍エネルギーを使用していると2.000になります。

すなわち、同業者の同じ規模の店舗よりもエネルギーを無駄に使っているかどうかを知るための指標です。

0に近づくほどエネルギーの使用量が少なく、大きくなればなるほどエネルギーをたくさん使用しているという意味になります。

しかし、「同じ規模」の食料品スーパーマーケットという指標は測りづらく、延床面積や営業時間、冷蔵・冷凍ケースの数によっても規模は変わってしまいます。そこでベンチマーク制度では算出の方法を決めており、

自社の店舗と同じ規模の食料品スーパー

=延床面積×2.543

+営業時間×0.684

+冷凍・冷蔵ケースの尺数×5.133

で算出しています。

延床面積の単位は㎡(平米)、営業時間は年間の営業時間、冷凍・冷蔵ケースの尺は一尺30.3cmです。冷凍・冷蔵ケースの尺については、使用されている冷凍・冷蔵ケースの仕様書に尺数が記載されているので、そちらをご覧いただくか、メーカーに問い合わせると確認することができます。

ちなみに、延床面積は「食料品スーパーとして営業している範囲の面積」になりますので、屋内駐車場や屋上駐車場の面積は含みません。一方で、バックヤードは営業の範囲をみなされるため、延床面積に含んで計算します。また、店舗の増築、改築などがあった場合は、ベンチマーク指標を報告する年度末(3月末)の面積を使用します。

営業時間については、1年度間の営業時間です。自社の決算時期などではなく、4月から翌年3月までの営業時間を使って算出します。

冷凍・冷蔵ケースの尺については、各ケースの横幅の外寸を使用して合計します。扉の有無や高さは考慮されないため、横幅だけ使用します。

 

 

 

店舗ごと?事業者単位?ベンチマーク指標は何を達成すればいい?

 ベンチマーク制度では「対象となる店舗ごとのベンチマーク指標」と「事業者全体のベンチマーク指標」の2種類の指標を算出して報告する必要があります。

店舗ごとのベンチマーク指標は先ほどの計算式を使用して、

店舗ごとのベンチマーク指標

=エネルギー使用量の実績値

÷同程度の店舗のエネルギー使用量

で算出します。

「同程度の店舗のエネルギー使用量」は「延床面積、営業時間、冷凍・冷蔵ケースの尺」から算出する数値を使用します。

 

一方で、事業者全体のベンチマーク指標は

事業者のベンチマーク指標

=「各店舗の実績値×店舗のベンチマーク指標」の合計

÷各店舗の実績値の合計

です。

各店舗の実績値は単位がGJ(ギガジュール)であり、エネルギーの使用量を原油換算したときの値です。店舗では電気だけでなくガス、重油など様々な燃料を使用していることがあるため、原油で換算した値を使用します。

補助金を活用した経験がある方にとって原油換算は慣れているかもしれませんが、はじめて換算する際はすこし苦労するかもしれません。

しかし、計算式で変換するだけなので、難しく考える必要はありませんのでご安心ください。

 

この事業者全体のベンチマーク指標は0.799以下が目指すべき水準となっています。0.799以下の場合はベンチマーク目標達成事業者として扱われます。

ベンチマーク目標達成事業者となると、経産省が行っている「事業者クラス分け評価制度」の中でSクラスとなります。現在、事業者クラス分け評価制度では、事業者ごとに公表されており、継続してSクラスであると対外的にも非常に有利になります。一方で、BクラスやCクラスになってしまうと、現地調査や指導が入り、追加での報告が生じてしまうことがあり、手間がさらに増えてしまいます。ベンチマーク目標を達成することでそのようなリスクを下げることができるため、0.799を達成しておくと有利になります。

 

 

一方で、0.799のベンチマーク目標を達成していない場合、ベンチマーク制度の報告書で「未達の理由」を報告する必要があります。達成している場合は報告書で記入する項目が少なくなりますが、達成していないと記入しなくてはいけない項目が増えてしまいます。

 

 

 

ベンチマーク目標はどうやってクリアすればいい?

ベンチマーク制度は平成30年から食料品スーパーで始まったため、まだ不慣れな食料品スーパーマーケット様もいらっしゃるかと思います。ベンチマーク制度の目標値をクリアするポイントは「冷凍・冷蔵ケースの省エネ」です。照明をLED化する、空腸を省エネ化するといったランニングコスト削減、電気代削減の取り組みは実施済みの食料品スーパー様も多いですが、「冷凍・冷蔵ケースの省エネ」を行っていないケースがよくあります。

 

食品スーパー省エネ.comを運営しているミツイワ株式会社では、全国の食品スーパー様の冷凍・冷蔵ケースの省エネを含め、ベンチマーク制度に対応するためのサポートを行っています。

 

「目標値を達成したいけどどうすればいいかわからない・・・」、

「ベンチマーク制度の計算方法がよくわからない・・・」、

「ちょっと聞きたいことがある・・・」などお気軽にご連絡ください。

 

 

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