コンプレッサの省エネはまずは日頃の簡単なメンテナンスから
「コンプレッサにかかる電気代を削減したい」と考えている事業者様は多いです。
コンプレッサの省エネ手法として、高効率機器に更新する、台数制御盤を設置する、配管を見直すなどの対策が考えられますが、これらの手法は当然費用がかかります。
その前にまず確認しなければいけないのが、「自社でできる日々のメンテナンスがしっかりとできているか」です。
日々のメンテナンスを怠ると、すぐに機器が劣化してしまったり、また運転効率が下がるなど、経済的損失につながります。
逆に、自社でできるメンテナンスをしっかりと行っていると、費用をかけずにコストを削減することができます。
省エネを実現したい、機器の修理代を抑えたいと考えている方は、まずは自社のメンテナンスを徹底することから始めましょう。
今回は、自社でできるメンテナンスのうち、「吸い込みフィルタの清掃」に焦点を当てて解説します。
1.なぜフィルタ清掃を行わなければいけないのか
コンプレッサの吸い込みフィルタは、圧縮機本体に塵埃が入り込むのを防ぐ役割と防音の役割を果たしています。
フィルタが目詰まりを起こして塵埃が吸い込まれてしまうと、シリンダ・ピストンリングの異常摩耗、オイルの汚れ、摺動部のトラブル等の原因となります。
また、目詰まりを起こすとその分給気量が低下してしまうため、コンプレッサにかかる電気代も上がってしまいます。
周辺環境によって異なりますが、機器の延命と省エネのために、1か月に1回はフィルタの清掃を行いましょう。
2.フィルタの目詰まりが原因と考えられるトラブル
以下のようなトラブルが起きている場、原因の一つとして給気フィルタの目詰まりが考えられます。フィルタを確認し、ごみが詰まっている場合はエアブロー清掃をしましょう。それでもトラブルが解消されない場合はエレメントの交換をおすすめします(一般的にエレメントの交換推奨期間は1年です)。
- 途中で停止してしまう
- 吐出圧力が上がらない
- 圧力の上昇が遅い
- 機器の劣化速度が速い
- 省エネ施策を探している
3.フィルタの清掃でどれくらいの省エネ効果が得られるのか
フィルタの目詰まりは、「吸込抵抗(mmAqもしくはkPa)」という数値で表すことができます。
フィルタ清掃により吸込抵抗を低減することにより、吸い込みに必要なエネルギー(軸動力)を抑えることができます。
そこで、フィルタの清掃により年間どれくらいの電気量を削減することができるかのイメージ例をご紹介します。
【吸い込みフィルタの清掃による省エネイメージ】
□前提条件
①コンプレッサー合計容量:250 kW
②コンプレッサ負荷率:80%
③稼動時間:24 h/日、340 日/年
④清掃による圧力損 失の削減:150 mmAq(省エネ率 1%)
⑤電力料金:17.2 円/kWh
⑥排出係数:0.475 t-CO2/千 kWh
□省エネ効果
・削減エネルギー量(コンプレッサ容量×負荷率×稼働時間×省エネ率)
=250 kW×0.8×24 h/日×340 日/年×0.01=16.3 千 kWh/年
・削減金額
16.3 千 kWh/年×17.2 円/kWh=280 千円/年
・削減CO2量
16.3 千 kWh/年×0.475 t-CO2 /千 kWh=7.7 t-CO2/年
4.フィルタ清掃の方法
フィルタの清掃方法は簡単です。
□STEP1
・コンプレッサーの運転をスイッチで停止し、その後本体の主電源を落とす
□STEP2
・コンプレッサー内の圧力が大気圧まで低下するまで待つ
□STEP3
・吸込フィルタのカバーを外して内部にある吸込フィルターエレメントを引き出す
□STEP4
・吸込フィルターエレメントについた大きめのゴミを軽い力で落とす。その後、エアブローを使って外側に付着したゴミを吹き出す
□STEP5
・吸込フィルタカバー内についたゴミや汚れを拭き取る
□STEP6
・吸込フィルターエレメントを元の位置へ押し込み直す。このとき、吸込フィルターエレメントにランプ等を入れ、破損等がないかを
事前に確認
□STEP7
・吸込フィルターカバーを取り付けて完了
なお、この通り清掃を定期的に行っても目詰まりの頻度が高い場合は、設置環境の見直しが必要です。
ダクトの設置やコンプレッサの移設を検討しましょう。
さらなるコンプレッサの省エネを実現したい方はミツイワへご相談ください
いかがでしたでしょうか?
月1回のフィルタ清掃は、機器の延命だけでなく、年間で数万円のコスト削減にもつながるということをご紹介しました。
省エネの基本的な進め方は、まずは自社でできる無駄の削減、次に省エネ性能の高い設備の導入、そして工程の見直しです。
フィルタの清掃だけでなくさらなるコンプレッサの省エネを実現したいという場合、弊社ではコンプレッサの台数制御盤をご提案しています。
少しでもご興味のある方は、お気軽に私たちにご相談ください。